猫ちゃんの病院、なんとなくで選んでいませんか?
- 猫ちゃんがいつも病院を嫌がって大変
- 病院ってみんな怖がるものでしょ?
- どこの病院でも同じじゃない?
- 近所の愛犬家のおすすめのところなら間違いないよね?
実は、“猫ちゃんに適した病院の選び方”があるんです。
病院選びのコツを押さえるだけで、愛猫の通院ストレスを減らし、健康寿命を延ばすことに繋がります。
20年の現場経験を持つ元動物看護師が、猫に優しい動物病院の見極め方をわかりやすく解説します。
動物病院を選ぶ前に知っておきたいこと
なぜ猫は病院選びが重要なのか。

猫ちゃんは非常に繊細で環境の変化や見知らぬ人との接触に強いストレスを感じやすい動物です。
そのため、外出だけでも不安は大きく、病院で診察となると不安と緊張で暴れたり、体調を崩してしまうことも少なくありません。
そして特に猫ちゃんは体調不良を隠してしまう習性があり、飼い主さんが気づかぬうちにすでに症状が進行しているケースも。
だからこそ早期発見・早期治療をサポートしてくれる信頼できる動物病院が必要不可欠です。
そこで猫ちゃん専門病院でなくとも、
“猫ちゃんにやさしい、猫ちゃんのことをよく理解している病院”
を選ぶことが重要です。
猫ちゃんとわんちゃんではかかりやすい病気が異なるため、猫ちゃんの診療経験が豊富な獣医師であれば的確な診断やアドバイスが期待できます。
そして猫ちゃん専用の待合室や診察室、診察時間を設けている病院では、他の動物との接触を避けられるため、猫ちゃんのストレス軽減が期待できます。

実際に、待合室でわんちゃんが吠えていたり、すぐ隣にわんちゃんの息づかいを感じたり、時にはわんちゃんがキャリーケースを覗いてきたり…刺激を強く受けた猫ちゃんは診察の際、一段と敏感になっているのがわかります。
受診のたびにストレスで体調を崩してしまったり、怒ったり、暴れてしまうことで受診のハードルが上がってしまうことも。
受診に敏感になってしまうとさまざまな弊害が起こります。

- 逃げ回って連れて行けない
- 怒る、暴れる
- 飼い主さんや病院スタッフがケガをする
- 受診が遠のき、早期発見・早期治療が遅れる
- 受診するたびにストレスで体調が悪化する
- できる検査・治療が限られる
- 健康寿命に影響する
長年病院勤務をして痛感したのは、受診に敏感になってしまった猫ちゃんは“できる検査・治療が限られてしまう”ということです。
もっとできる治療があるのにできないのはとても悔しいことです。
そういったことから、猫ちゃんにとって、性格や特性をよく理解している病院を選ぶことは、健康を守る上で非常に重要なステップです。
おさえておきたいポイント
かかりつけ医を決めるにはいくつかのポイントがあります。
“合わない”と感じたら通い続けなくてよい

診察を受けて、猫ちゃんの様子や獣医師・スタッフの対応に違和感を感じた場合は、無理に通い続ける必要はありません。
違和感や不安を抱えたままだと、不信感やトラブルに繋がりかねません。
候補がいくつかあるのであれば、爪切りやワクチンなどで何軒か行ってみて、かかりつけ医を決めるのがおすすめです。
猫ちゃんを入院させたり、場合によっては手術を受けることもあるため、「ここなら安心して愛猫を任せられる」と思えるところを選びましょう。
病院の雰囲気や清潔感は診療の質の判断材料になる

いつも待合室や診察室が汚れていたり、臭いがきつい、スタッフがバタバタしている…そんな病院は、診療の質も不安が残ります。
スタッフの人数が少なく、手が回らないのかもしれません。
力量の問題で余裕がないのかもしれません。
施設の清潔さや落ち着いた雰囲気は猫ちゃんのストレスを減らすだけでなく、信頼性の指標にもなります。
犬の飼い主さんからのおすすめだけで病院を選ばない

「わんちゃんにとって良い病院=猫ちゃんにとって良い病院」とは限りません。
20年勤めた病院は規模が大きかったのでたくさんの獣医さんと働いてきました。
そこで目の当たりにしたのが“獣医さんにも得意・不得意がある”ということです。
人間と違って、内科、外科、歯科、眼科、泌尿器科、脳外科、耳鼻科…さまざまな分野を診なければならないのが獣医療です。
その中で“得意・不得意”、そして“興味のある分野・ない分野”があるのは、獣医さんあるあるです。
実際に、わんちゃんに関してはスペシャリストと呼ばれる獣医さんでも猫ちゃんに関しては一般的な知識しか持っていない、ということもあります。
わんちゃんと猫ちゃん両方と暮らしている場合、それぞれかかりつけ医を変えるのも全然ありですよ!
かかりつけ病院をもつメリット

「病院は調子が悪くなったときに行けばいい」と考えていませんか?
体調を崩してから慌てて病院を探すよりも、健康なうちから信頼できる“かかりつけ医”をもっておくことが、安心と健康を守る鍵になります。
ここでは猫飼い初心者さんにこそ知ってほしい“かかりつけ医をもつメリット”を2つの観点から解説します。
すぐに相談できる安心感

猫ちゃんは体調不良を隠す動物です。
気がついたときにはすでに症状が進行していることも少なくありません。
そのため、体調の異変に気づいたときにすぐ相談できる“かかりつけ医”の存在は非常に重要です。
信頼関係が築けていれば以下のようなメリットがあります。
- 普段の様子を知っているため、わずかな異変にも気づいてもらえる
- 電話での相談に応じてくれる(※病院によるため要確認)
- 過去の診療履歴があるので体重・検査数値の推移を確認でき、診断や処方がスムーズ
- 食生活や性格をふまえた個別のアドバイスがもらえる
“愛猫のことをわかってくれている先生がいる”というだけでとても心強いですよ。
継続的な健康管理がしやすい

猫ちゃんはいつまでも愛くるしい姿のため、年齢の変化がわかりづらく、シニア期に入っても変わらないように見えることがあります。
しかし実際に診察を受けてみると、腎臓病や歯周病など、年齢とともに進行する慢性疾患がみつかる猫ちゃんはたくさんいます。
定期的に健康診断を受けることで、こうした病気を早期発見・治療できる可能性が高くなります。
特にシニア期(7歳以上)に入った猫ちゃんは、半年〜年1回の健康チェックが理想とされています。
年齢や健康状態によって、最適な検査の頻度は異なります。
獣医師に指示を仰ぎましょう。
かかりつけ医を見つけよう

キャットフレンドリークリニック(CFC)認定をチェック!
キャットフレンドリークリニックとは国際猫医療団体が定めた「猫にとって快適でストレスのない医療環境」が整った病院に与えられる認定です。
魅力的なポイント
- 猫ちゃん専用の待合室、猫ちゃん専用の診察室など、猫ちゃん特有のストレスを軽減する工夫がされている
- 猫ちゃんの扱いに慣れた獣医師・スタッフが在籍し、適切なハンドリング技術を持つ ←重要◎
- 待ち時間も猫ちゃんが落ち着けるよう、照明や香り、音への配慮がされている
飼い主から見てのメリット
- 初めて連れて行く場合でも「猫ちゃんにとって安心できる環境」が整っていることがわかりやすい
- CFC認定があることで、信頼できるクオリティの保証と判断しやすくなる
- ネガティブな経験を減らし、猫ちゃんも飼い主さんも診察にストレスを感じることなく気軽に受診ができるようになるため、早期発見・早期治療につながる
CFC認定病院かどうか調べる方法

▼参考リンク(外部サイト)
全国のキャットフレンドリークリニックが調べられますのでこちらでチェックしてみてください。
病院のホームページ等で記載がある場合もあります。
※CFC認定は一つの目安です。実際に受診してみて雰囲気や清潔感、対応等が愛猫に合うかどうかを確認するのが重要です!
スタッフの対応や雰囲気をチェック

病院を選ぶうえで、スタッフの対応や院内の雰囲気はとても重要です。
獣医師の腕前はもちろんのこと、他のスタッフの態度や接し方などからもその病院の「猫ちゃんへの理解度」が見えてきます。
例えば、
- 大きな声や音で刺激しないよう配慮しているか
- キャリー越しの観察や問診で接触を最少限にしているか
- 力ずくで押さえ込もうとしていないか等
小さな気配りの積み重ねが猫ちゃんにとっては大きな安心につながります。
通いやすさと診察時間の確認も大切

病院選びでは「内容重視」が大切とはいえ、通いやすさも軽視できません。
特に以下のようなポイントが重要です。
- 徒歩や車、自転車など自分の生活にあったアクセスが可能か
- 車の場合、駐車場の有無
- 予約制か、夜間などの緊急対応が可能か
- 平日の最終受付時間や土日、定休日などをチェックし、不都合なく通えるか
また移動自体がストレスになるので自宅から30分圏内で通える範囲が理想的です。
実際に、筆者が勤めていた病院は設備が整っていたため、遠方から通ってこられる方がたくさんいらっしゃいました。
しかし病気の重さによっては自宅の近くにもかかりつけ医をもっておくことをお勧めしていました。
容態によっては病院に辿りつくまでに急変してしまうことも考えられるので30分圏内にかかりつけ病院を1軒もっておくことを強くおすすめします。
そして高齢になるとほとんどと言っていいほどたくさんの猫ちゃんが腎臓病になります。
腎臓が悪くなると頻繁に(多いと毎日)点滴をしなければならないことがあります。
そういう場合、自宅近くにかかりつけ医があると日々の維持管理をしてもらえるのでとても心強いです。
動物病院を選ぶ具体的なステップ

猫飼い初心者さんにとって動物病院を選ぶのは不安なものです。
でも情報を集め、実際に体験して比較することで「ここだ!」と思える病院に出会える可能性が高まります。
この章では信頼できる病院に出会うための具体的なステップをご紹介します。
口コミ・レビューサイトを利用する
病院選びの第一歩は「情報収集」。
その中でも実際に通院した飼い主さんの声が集まる口コミやレビューサイトはとても参考になります。
これらを利用する際には星の数よりもコメント内容に注目し、猫ちゃんの診察で訪れた人のレビューを中心に自分のニーズに合っているか確認してみましょう。
いい評価ばかりの場合、“さくら”のこともあるため、コメントの内容をしっかり読んで判断してくださいね。
実際に初診を受けてみる

ネットで調べるだけではわからないのがその病院の「空気感」。
そのために実際に一度診察を受けてみることをおすすめします。
【チェックポイント】
- 待合室の犬猫エリア分離の有無
- スタッフの対応
- 診察時の猫ちゃんの扱い方
- 院内の清潔感、消毒や換気の状態
- 飼い主への説明のわかりやすさ
愛猫がどう反応するか、自分が安心して任せられそうかを見極めましょう。
理想的な病院のかかり方

- 日常のケアや予防接種などで定期的に自宅近くの病院に通う
- 自宅から30分圏内の設備の整った病院で定期検診等を受け、早期発見・早期治療・手術などをしてもらう
- 急を要する状況のときに自宅近くの病院に駆け込める
かかりつけ医を複数確保し、上手に通い分けましょう。
待合室での過ごし方でストレスを和らげよう

猫ちゃんの通院ストレスをゼロにすることはできません。
少しでもストレスを軽減できる工夫をしてあげましょう。
- キャリーにタオル等を被せて視界と光を遮る→暗くて狭い空間を好む習性と、自分の姿を隠せている安心感を与える
- 膝の上や椅子の上など、床から少し高い位置にキャリーを置く→床の振動や犬の視線を避ける
- キャリー内にはいつも使っているタオルや毛布を入れて安心感を与える
- 香りで落ち着かせる“フェリウェイスプレー(猫用フェロモン)”をキャリーやタオルに軽く吹きかけておく(※動物病院で購入できます)
- 大きな声や音はなるべく控える
また、キャットフレンドリークリニックのように、猫ちゃん専用待合室がある病院では、他の動物との接触を避けられるので安心です。
病院によっては順番が来るまで車で待機することもできるので受付で確認してみましょう。
「病院=怖くない」と猫ちゃんに少しずつ学んでもらうことで、今後の通院がぐんと楽になりますよ😊
こんな症状があればすぐ病院へ

以下のような症状がみられた場合は、できるだけ早く病院に連れて行くべきサインです。
特に猫ちゃんは“我慢強い動物”なので異常が見える時点で症状が進行している可能性があります。
【要注意の症状一覧】
- ご飯を食べない、水を飲まない
- トイレに行く回数が多い/少ない
- 血尿・下痢・嘔吐が続く
- 呼吸が荒い、口を開けて呼吸している
- 急に元気がなくなった、動かない
- 歯茎の色が白っぽい/黄色い
- どこかを触ると嫌がる、怒る、鳴く
- 体が熱い
これらの異変にいち早く気づけるよう、日頃から“いつも通り”をしっかり観察しておきましょう。
何か少しでも「変だな」「いつもと違う」と感じたら迷わず、かかりつけ医に相談しましょう。
経験上、いつも一緒にいる飼い主さんの“違和感”はとてもよく当たります。
もしも病院に行ってみて異常がなかったとしても大丈夫です。
ずっと不安な気持ちを抱えながら様子を見ているよりも“安心”を手に入れましょう。
「こんなことで病院に行ったら迷惑かな、嫌がられるかな」など考える必要はありませんよ。
不安な場合は電話で相談してみましょう。親身になってくれるはずですよ。
まとめ:猫飼い初心者こそ、信頼できる動物病院との出会いが大切

猫ちゃんとの暮らしを始めたばかりの方にとって、動物病院選びはとても重要なだけに難しく感じるかもしれません。
しかしポイントをおさえることで生涯を通して支えてくれる信頼できる病院と出会うことに繋がります。
猫ちゃんの特性を理解し、猫ちゃんに優しい環境が整った“キャットフレンドリークリニック(CFC)”認定病院などを優先的に検討することで、ストレスの少ない通院が可能になります。
また病院の雰囲気、スタッフの対応、設備や清潔感、実際に通いやすいかどうかなど、複数の観点から比較して選ぶことが大切です。
初診での印象や、実際に通っている方の意見などを参考に、猫ちゃんと飼い主さんにとって最適な病院を見つけましょう。
愛猫の一生を支える“パートナー”のひとつとして、“良い病院”との出会いを大切にしてくださいね。
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