猫を飼うのは、今回が初めてでした。
動物病院で長く働いてきたため、日々の診察や処置を通して、たくさんの猫の性格や反応を見てきました。
その経験の中で、性格や飼いやすさという点で、強く印象に残っていたのはサビ猫です。
「サビ猫は穏やか」というのは、動物業界では定説となっています。
だから、初めて猫を迎える立場になったとき、私は迷わずサビ猫を選びました。
この記事では、初めて猫を飼おうとしている方に向けて、動物病院での現場経験と、実際に飼ってみた体験をもとに、なぜサビ猫が初心者におすすめできるのかをお伝えします。
初めて猫を飼うとき、どうやって出会う?
ペットショップだけじゃない

猫を飼おうと思ったとき、まずペットショップを思い浮かべる方は多いと思います。
実際に足を運べば、すぐに猫を見ることができて、お店によっては触れ合える場合もあり、直感を大切にしたい人にとっては、行動に移しやすい選択肢です。
一方で、猫と出会える場所は、ペットショップだけではありません。
少し視野を広げるだけで、まったく違った出会い方があることも知ってほしいと思います。
保護施設や譲渡会という出会い方

保護施設や譲渡会でも、実際に猫を見たり、触れ合ったりしながら出会うことができます。
そこにいる猫たちは、いわゆる血統書つきの猫というより、日本猫や雑種の猫が中心です。
新しい飼い主さんとの出会いを待っている猫たちがたくさんいます。
保護猫=成猫だけ、ではない

「保護猫」と聞くと、成猫や老猫ばかりというイメージを持つ方も多いかもしれません。
確かに、成猫が多い傾向はありますが、時期によっては、たくさんの子猫が譲渡に出ることもあります。
私自身が迎えたのも、里親募集サイトで出会った子猫でした。
子猫から育てたい人にとっても、譲渡会や保護施設は身近な選択肢です。
ぜひ一度、足を運んでみてください。
保護施設・譲渡会ならではのメリット

保護施設や譲渡会では、スタッフや預かりボランティアの方から、その猫の性格やこれまでの様子を詳しく聞くことができるため、猫自身のことを事前によく知ったうえで迎えられ、初めての生活も安心してスタートできます。
- 人に慣れているか
- 癖や苦手なこと
- 抱っこは好きか
- 他の猫との相性
- 子どもがいる家庭でも大丈夫そうか
- 既往歴
といった、実際に暮らす上で気になる情報を事前に知ることができます。
見た目や第一印象だけでなく、具体的な生活をイメージしながら選べるのは、初めて猫を飼う人にとって大きな安心材料です。
また、譲渡前後の相談やフォローを受けられる場合も多く、「迎えて終わり」ではない点も心強いところです。
猫の選び方は「品種」だけじゃない

初めて猫を飼うとき、「どんな種類の猫がいいだろう」と考える方は多いと思います。
ただ、譲渡会や保護猫の場合、いわゆる血統書つきの猫よりも、日本猫や雑種の猫が中心になるため、品種を限定しての探し方にはあまり向きません。
自分が猫とどんな暮らしをしたいのか、そして初めてでも大丈夫そうか、そんな視点で考えてみることはお互いのために大切です。
初めて猫を飼うなら「暮らしやすさ」を重視

初めて猫を飼うとき、

ちゃんと育てられるかな?
この子にとっていい飼い主になれるかな?
そんな不安を感じるのは、とても自然なことです。
だからこそ、最初の一頭は“理想のイメージ”よりも「一緒に暮らしやすいかどうか」を基準にするのがおすすめです。
例えば、
▷見た目はふわふわの長毛猫が好き。でも生涯ブラッシングをして毛玉を防ぐ自信がない。→短毛猫向き
▷猫を飼うのが初めて、もしくは外出しがち →メス猫向き
猫との暮らしは、愛でるだけではなく、日々の健康管理を通して命を守るという重要な役割があります。
毎日のごはんやトイレのお世話はもちろん、体調管理や爪切り。
さらに、環境の変化や来客、通院など、猫にとってストレスになりやすい場面もあります。
初めて猫を飼う場合、こうした日常のさまざまな出来事にこちらがきちんと対応できるかどうかは、猫の健康に直結する重要なポイントです。
「見た目の好み」より、性格に注目してみる

誰にでも「こんな猫がいいな」という理想や好みはあります。
それはとても自然なことだと思います。
ただ、猫はしつけや育て方で性格を変えられる動物ではありません。
根本的な気質は、生まれ持ったものが大きく影響します。
だからこそ、迎える前に「どんな傾向があるか」を考えることには大きな意味があります。
“見た目の好みだけで選ぶのではなく、最初から性格にも目を向けて選ぶ。”
それは、猫にとっても人にとっても、無理のないスタートにつながります。
毛の色や長さが性格に与える影響

猫は品種の他に、毛の色や毛の長さ、性別が性格に与える影響が大きい動物です。
初めて猫を飼う場合、性格の傾向を知っておくと、日常生活のイメージをつかむ参考になります。
例えば、一般的に言われる傾向としては、
- 三毛猫は業界で「怒りやすい猫トップ3」に入る
- 長毛より、短毛の方が野性味が出やすい
- メスよりオスの方が比較的穏やかな性格の子が多い
ただし、これはあくまで目安で、例外の数も多いため、「参考程度」の情報です。
そんな中でも、サビ猫は穏やかで怒りにくい子が多く、私の経験ではこの傾向がかなり安定して見られます。
初めて猫を迎える方にとって、性格の読みやすさという点で、安心して選べる選択肢のひとつと言えます。
初めて猫を飼うならサビ猫がおすすめな理由

動物病院は、猫にとって強いストレスがかかる場所です。
普段はおとなしく、人懐こい猫でも、恐怖や不安から攻撃的になることは、少なくありません。
それでも、サビ猫で激しく怒ったり、本気で攻撃的になる子は、ほとんど見たことがありません。
動物業界では「サビ猫=穏やか」というのは定説になっており、実際に飼ってみても、その印象は変わらず、子どもともうまくやってくれています。
サビ猫とは?

サビ猫とは、黒・茶・赤・オレンジなど複数の色が混ざり合った「まだら模様」の猫を指します。
品種名ではなく、「毛色(カラー)」の分類で使われる通称で、三毛猫の一種です。
英語では「トーティシェル(Tortoiseshell)」と呼ばれ、日本では「サビ柄」「べっ甲柄」と表現されることもあります。
同じサビ猫でも一頭一頭まったく違う模様を持ち、世界に二つと同じ柄がないとも言われ、この個性豊かな模様こそが、サビ猫の大きな魅力のひとつです。
この模様の正体は、「黒」と「赤系」の毛色の遺伝子が同時に現れていることによるものです。
どちらか一方の色だけが出る猫が多い中、サビ猫はその両方が混ざって現れるため、まさに“アート作品のような毛色”になるのです。
しかもこの「混ざり具合」は完全にランダムで、左右対称の子もいれば、顔の半分だけ色が違う“チマ(キメラ)”タイプもいます。
また、三毛猫の一種だけあってサビ猫のほとんどがメス猫であることも特徴のひとつです。
これは遺伝子の仕組みによるもので、オスでサビ柄になるのは3,000匹に1匹程度と言われています。
品種にこだわらず、性格や暮らしやすさで猫を選びたいと考えたとき、サビ猫は有力な選択肢になります。
見た目の華やかさよりも、一緒に暮らしたときの落ち着きや、穏やかな関係を大切にしたい人に向いている猫だと感じています。
サビ猫の性格の傾向と魅力

性格にはもちろん個体差がありますが、サビ猫は総じて頭が良く、穏やかな子が多い印象です。
実際にSNSでも、サビ猫の飼い主さんの投稿には、
- 賢い
- 落ち着いていて飼いやすい
- 急な環境変化にも比較的順応しやすい
- 人の気持ちをわかってくれる
- 人との距離感をつかむのが上手
- 嫌なことがあっても我慢してくれる場面が多い
- 顔は渋いけど性格はかわいい
- 成長とともにその渋さがどんどん増していくのも魅力的
- 「かわいい」よりも「美しい」「風格がある」という言葉が似合う
といった声が多く見られます。
こうした特徴から、猫飼い初心者が「猫と暮らすことそのもの」に慣れる時間を与えてくれる存在だと感じました。
人によってはその“渋さ”が好みに合わないかもしれませんが、逆にこの独特な柄に惚れ込む人もいます。
実際にサビ猫を飼った経験のある人はその「賢さと穏やかさ」に強く惹かれ、“猫好き・玄人”には定評となっています。
賢さと穏やかな性格から“初心者向け”としてとてもオススメですが、見た目で敬遠されがちなのが本当に残念です…。
もちろん、猫との相性は実際に暮らしてみないと分からない部分もあります。
それでも、初めて猫を飼う人が安心してスタートを切りやすい選択肢のひとつとして、サビ猫は非常におすすめできる存在です。
サビ猫が譲渡で見かけやすい理由

サビ猫は、譲渡会や保護施設では比較的見かける毛色です。
その理由のひとつが、「見た目の好みが分かれやすい」という点にあります。
派手さ、華やかさはなく、写真映えもしにくいという点があり、光の加減によっては表情がわかりづらく、「怖そう」という印象にもなりがちです。
SNSや里親募集のページでは、どうしても写真の与える影響が大きくなってしまうため、写真写りがあまりよくないサビ猫にとっては不利になってしまうことも。

実際にサビ猫と暮らしてみて、確かに写真映えはしないし、丸まっているとどこがどこだかわからないことも…。
でも「よく見ると美人だね」と褒められます。美人なんです!
目が据わっていることは多いですが、それも味があって本当に魅力的です。
サビ猫の生き残り戦略

三毛猫の一種のサビ猫ですが、三毛とは性格が大きく異なります。
サビ猫は、賢く、穏やかな性格の子が一番多い毛色です。
一説によると、「見た目に好みが分かれるため、性格の良い子だけが残っていった」と言われています。
昔、「雑巾猫」なんてひどい呼び方もされていたようで、性格が良くないと生き残れなかったのでは、と。

ひどい…。
実際に飼ってみて感じた「初心者向き」な理由

実際にサビ猫を迎えてみて、その印象はさらに強くなりました。
- 怒らない
- 人見知りしない
- 環境の変化にも適応しやすい
- 子どもを受け入れてくれる
- 我慢強い
爪切りやお風呂、耳掃除、歯磨きもサポートがなくてもできています。
実家や義実家に預けることがあっても、人懐こさからとても可愛がられます。

「初めて猫を飼う」という立場でも、大きな不安を感じる場面はありませんでした。
実際に飼って改めて知ったサビ猫の魅力

サビ猫のかわいさは見た目と性格とのギャップにあると思います。
一見クールで落ち着いて見えるのに、実はとっても甘えん坊。
例えばうちの子は、眠たくなると必ず人の指をペロペロ舐めます。
まるで赤ちゃんのおしゃぶりのように、眠りにつくまでゴロゴロと喉を鳴らしながら舐め続けます。
私が行くところにはどこへでもついてきて、お風呂やトイレはドアのところで待っていることも。
見た目に派手さがないからこそ、仕草や行動、日常の中の一コマ一コマがじわじわかわいく思えてくる——それがサビ猫の最大の魅力かもしれません。
「不人気=飼いにくい」ではない

サビ猫が不人気と言われるのは、あくまで見た目の好みの問題です。
性格や暮らしやすさとは、まったく別の話で、穏やかで、賢く、人と暮らすことにとても向いています。
それは、動物病院の現場でも、実際の暮らしの中でも、はっきりと感じたことです。

初めて猫を飼う人にこそ、「見た目だけでは分からない魅力」があることを知ってもらえたら嬉しいです。
まとめ|初めて猫を飼うなら、サビ猫という選択肢を

初めて猫を飼うとき、多くの人が
「どんな猫がいいんだろう?」と悩みます。
見た目、品種、イメージ。
どれも大切ですが、実際に暮らしていく中で大きく影響するのは、猫の持つ気質や、人との距離感です。
サビ猫は、派手さや分かりやすい可愛さはないかもしれません。
そのため「不人気」と言われることもあります。
けれど、動物病院の現場で見てきた姿、そして実際に一緒に暮らして感じたのは、穏やかで我慢強く、人と暮らすことにとても向いている猫だということでした。
猫の性格は、しつけで変えることはできません。
だからこそ、迎える前に「性格の傾向」を知っておくことは、初めて猫を飼う人にとって大きな安心につながります。
もしこれから猫を迎えようとしているなら、ペットショップだけでなく、譲渡会や保護猫という選択肢の中で、ぜひサビ猫にも目を向けてみてください。
そっと寄り添ってくれる存在に出会えるかもしれません。
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